秋は健康診断の結果が返ってくる時期です
「再検査」「要治療」の文字に不安を感じる方も多いのではないでしょうか?
今回は、健康診断の中でも心臓や血管の健康に関わる重要な項目に注目し、「どこを見ればいいの?」「いつ受診すればいいの?」という疑問にお答えします
🩺 健診でチェックしたい循環器関連項目
● 血圧(収縮期/拡張期)
日本高血圧学会(JSH2019)では、高血圧の診断基準を下のように定めています。
測定環境 | 診断基準 |
診察室血圧 | 140/90 mmHg 以上 |
家庭血圧 | 135/85 mmHg 以上 |
* 健診では通常「診察室血圧」で判断します
- 異常を指摘されたら、まず家庭での朝・晩の測定を習慣にしてみましょう
- 血圧計は手首ではなく、上腕で計れるものをご購入ください
- 自宅血圧で115/75mmHg未満が正常値です
- 継続して高値が続く場合は、早めに医師へご相談ください
● 心電図(不整脈・心肥大など)
- 心電図の「異常あり」は、必ずしも治療が必要な状態とは限りません
- 期外収縮などは頻度が少なく無症状であれば経過観察でよい場合もあります(医療機関でご相談下さい)
- ただし、心房細動や徐脈・頻脈性不整脈が指摘された場合は精査が必要です
- 自己判断は危険ですので、二次健診を指示された場合には必ず医療機関を受診しましょう
● 血液検査(脂質・血糖・腎機能)
- LDLコレステロール:140mg/dL以上で要注意(ただし心血管病のリスク有無に応じて目標値が異なります)
- 中性脂肪:150mg/dL以上で異常値
- HDL コレステロール:40mg/dL未満で異常値
- HbA1c:5.6%以上で糖尿病予備群の可能性
- eGFR(推算糸球体濾過量):60未満は腎機能低下、腎機能の指標であるクレアチニン、年齢、性別で計算されます
📌 健診結果の「見逃し注意ポイント」
項目 | よくある見落とし | 注意点 |
血圧 | 「ちょっと高いだけ」なので様子見 | 家庭血圧の測定が重要です |
心電図 | 「異常なし」でも症状がある | 発作的な不整脈の可能性あり |
コレステロール | 数値に慣れてしまって放置 | 動脈硬化の進行に注意 |
腎機能 | 症状がないので放置しやすい | 心疾患・高血圧とも関連します |
📖 健康診断 検査値早見表(循環器関連)
項目 | 基準値(参考) | まずやること |
診察室血圧 | 140/90 mmHg 未満 | 自宅での血圧測定を開始 |
家庭血圧 | 135/85 mmHg 未満 | 自宅での血圧測定を開始 |
LDLコレステロール | ~139 mg/dL | 家族のコレステロール値を確認(遺伝性がないか) |
中性脂肪 | ~149 mg/dL | 脂質、糖質の制限を検討 |
HbA1c | ~5.5% | 5.6%以上は経過観察を |
eGFR | 60以上 | 60未満で腎機能低下の疑い |
心電図 | 異常なし | 以上の場合は必ず受診し再検査 |
🕒 異常値が出たときの受診タイミングガイド
- ✅ 血圧が140/90 mmHg(診察室)以上 → 自宅血圧測定を開始し、早めの外来受診を
- ✅ 心電図で異常を指摘 → 循環器専門医の受診を
- ✅ LDLコレステロールが160 mg/dL以上 → 動脈硬化予防の治療が必要 治療目標を医療機関で確認
- ✅ HbA1cが6.0%以上 → 糖尿病精査をおすすめ
- ✅ eGFRが50未満 → 基礎腎疾患の把握のため外来受診を
健診は、自分の体の今と未来を知る大切なきっかけです
「異常なし」と安心するだけでなく、「異常あり」と書かれていても慌てず、内容を正しく理解することが大切です
また生活習慣病を放置することで大きな疾患に進行することがあります
ご自身の結果で気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください